台湾-Taiwan-
25日目。9月11日。
エアポートバスに乗り、いよいよタイに別れを告げる。
バスの隣の席には、ヨルダン人の男の人が座った。
彼は、今日これから大阪へ行くと言った。
私はなぜ旅人に優しくなくそしてまた大して見所があるとも思えない日本へ行くのか尋ねると、
彼は前にネパールだかチベットだかを旅した時に、大阪から来た女性に会い、
その後、彼女は彼に会いにヨルダンを訪ね、そして今回が「It's my turn」なんだそうな。
なるへそ。
ちなみにヨルダンは、私の心のダーリン、シャイの国イスラエルの隣である。
イスラエルと日本って遠いよな〜と思う事が多かったが、ここにそれを乗り越えている人が実際いると知って、
ますますシャイとの再々会は夢じゃないんだよな、と実感した。
搭乗時刻を待つ私の前では、若者の集団が記念撮影にいそしんでいる。
とにかく撮りまくっている。
パッと見、日本人かと思ったが、一部の人の着ているTシャツに「Thailand」の文字と象の絵がモロ入っており、
この年代(同い年くらい)で、こんなコテコテのご当地Tシャツを着ちゃうあたり日本人じゃないな、と勝手に分析しつつ、
彼らの延々と続く記念撮影を遠巻きに眺めていた。
この後彼らと運命的な出会いをするとも知らず・・・。
飛行機の席は、真ん中の4席並びの右から2つ目で、
こんな感じ→ <台湾男性A><B><私><C>だった。
すると、BとCが私を挟んで話し始めたので、あぁ友達なのか、と思い、席替わりましょうか?とCに声を掛けた。
それがキッカケでCと話が始まり、こんな写真も撮ったり。
(上)飛行機にて。大富豪をして遊んだりもした。
話の流れから、私はCもといアンディに、台湾の安い宿を知らないか尋ねた。
実は私、飛行機に乗って初めて台湾のガイドブックを開き、今晩の宿を探すところだったのだ。
すると、トイレから帰って来た私に、アンディは「We have a good idea」と言う。
どうやら私がトイレに行ってる間に、何か話し合いをしていたらしい。
そしてそのideaは何かと言うと、彼らの大学の寮の部屋に泊まっていけばよい、というのだ!
桃園-Tao Yuen-
台湾の空港に着き、みんなに促されるままに、同じバスに乗る。
どうやら彼らは40人くらいの大学のクラスで、タイに旅行に来ていたようで、
このバスはスクールバスというか、クラスの貸切バスのようだ。
ほとんどの人達はどういったいきさつで私が乗っていて、これからどうなるのか知らないんだろうけど、
そのわりにはみんな温かく受け入れてくれた。
数人とバスを降り、しばらくすると、小柄な女の子がやってきた。
彼女の名前はひとみと言った。日本名?
そもそも、みんな台湾人で中国語話してるんだから、アンディとかじゃなくて、キムさんとかリーさんとかじゃないのか?
・・・これは聞いて「へぇ」連発だったのだが、彼らは、English nameというのを持っているそうだ。
つまり、本名はやっぱりキムさんでありリーさんなのだが、
英語の授業の時は、トムやマイクに変身するのだ。
私に自己紹介をしてくれた時も、English nameの方が覚えやすいだろうから、という事だったらしい。
ちなみに、どうやってこの名前を決めるのかというと、
一番最初の授業の時に、自分の思いつく名前(なりたい名前)を言って、
その名前で問題なければ「ハイ、今日から英語の時間キミはマイケル!」とかなるのだそうだ。
もし何も思いつかなかったら先生から命名され、
また、もし自分の名前がイヤになってしまったら、年度が替わる時に、新しい名前を申請するのだそうだ。
最初なぜEnglish nameを使うのかと聞いた時は、
中国語の名前は、発音上英語の中に混ぜるのが難しいだかややこしいだか言っていたが、
日本語学科の子が日本語の名前を持っているあたりからすると、
どうやらこれは発音どうこうの問題ではなく、アイデンティティとかそういう系の問題じゃないだろうか?
さて、話は少しそれてしまったが、ひとみの登場で、だいぶ意志疎通の図りやすくなった私たち。
どうやら私は、飛行機の席で仲良くなった1人、ジェイソンの部屋に泊まるようだ。
「デモ安心シテ。彼ハ彼ノ友達ノ部屋ニ泊マル。」
という事で、ベッド争奪大富豪をする必要はないようだ。(ベトナムの章参照)
しばらくすると、車を持った仲間が現れ、彼エリックの車で私たちは大きなデパートへ向かい、
地下のレストラン街で一緒に晩ご飯を食べた。
台湾は、看板やメニューが漢字な事を除けば、ほとんど日本と変わりない。
あぁ、旅も終わりに近いなぁ・・・。
食事を終えると、どうやらボーリングに行く事になったらしい。
到着してみると、バスで一緒だったクラスメイト達も何人か集まってきている。
私は正直ボーリングがあまり得意ではなかったのだが、まぁこの際どうだっていい。
「ボーリングやるの生まれて初めて!」と大ウソをつき、
みんなに「初めてにしたら上手だね!」と褒められながら3ケタにも及ばないスコアを出していた。
(左)ボーリングをした仲間。隣の女の子がひとみ。(右)部屋を貸してくれたジェイソン。UFOキャッチャーでぬいぐるみ取ってくれた。
寮に戻り、ジェイソンから一通り部屋の説明を受ける。
部屋にはトイレとシャワーがついていて、机の上のパソコンも使っていいからと言う。
もちろんトイレットペーパーもある、シャワーはお湯、パソコンの回線も早い!
この部屋が無料だなんて、なんて至れり尽くせり!
・・・久々に貴重品の事で気を張らずに、またゆっくりとお湯のシャワーを浴び、
今日一日の予想外過ぎの展開を振り返りながらベッドに横になる。
・・・旅ってホントわかんないもんだなぁ・・・。
26日目。9月12日。
朝起きると、外は大雨。
どうやら台風が近づいているらしい。
テレビを見る感じでは、台北のあたりがひどいらしく(ちなみにここは、桃園という空港の近くの町)
ガイドブックを見て、台北の夜市(屋台)に行きたいと思っていたのだが、どうやら無理そうだ。
しかし、ちょっとお腹がすいたといえば、ピァウという日本語も英語も堪能な男の子が、
雨の中バイクを飛ばして、台湾スイーツを買って来てくれたし、
昼には、みんなでカッパを着て外へ繰り出し、みんなの行きつけだという食堂へ連れて行ってくれたので、
私は台湾の庶民の味を十分に味わう事が出来た。
(左)ピァウが買ってきてくれたスイーツ。マンゴープリン、豆腐花、ドラゴンフルーツ、他。(右)行きつけの食堂にて。
昼間はジェイソンの部屋にみんな集まって、トランプをしたり、中国語を教わったりして過ごした。
そして、夜になり、桃園は、だいぶ小雨になってきた。
すると、みんなが「台北の大規模な夜市には行けないけど、ここ桃園にも小さな夜市はあるから、そこに行こう」と言ってくれた。
わーいありがとう!何でみんなそんないい人なんだ!!
というわけで、私たちは桃園の夜市へ向かった。
夜市は、まぁ英語に直すとナイトマーケット、だろうか。
おいしそうな屋台と、他にも服屋さんや、アクセサリーなどを売っている店が並び、
チェンマイのナイトバザールと、日本のお祭りの屋台の中間のような、なんだか独特の熱気があった。
みんな、あちこちの屋台から色々なものを買って、私に勧めてくれる。
中には豚の血をご飯に混ぜて固めて焼いたものや、アヒルの舌、などと言った珍品もあったが、どれもなかなかおいしかった。
服屋の前などを通ると、絶対「何かほしいものがあったら言ってね」と言ってくれるのだが、
人のお金を借りてまでして自分のものは買いたくない。
・・・、そう、実は私、無銭旅行してます。
空港で、みんなに促されるがままについて行き、その結果両替を忘れ、私は一銭の台湾元も持っていないのであります。
空港からのバスも、泊まる場所も、食べるものも、全部皆様のご好意によって支えられているのであります。
あぁ、地球バンザイ!人類バンザイ!
・・・とまぁそんなわけで、
本当は台湾は服が安くてデザインも日本に近いし、ゆっくり見たくてたまらなかったのだが、
「イッツオーケー」を繰り返し、服はなるべく見ないようにしていた。
のだが、帰り際、みんなが女の子の小物を扱うお店に入っていった。
「何もいらないからいいよ!」
「いや、俺達から美穂に何かひとつプレゼントするから選んで」
「えぇー!!無理無理!!マジ何もいいから!!」
・・・どこまでエェ人達なんや・・・。オイラはもうその気持ちだけで十分だよ・・・。
「じゃあこれはどう?」
彼らが選んでくれたのは、中心に大きなハート、その左右に2つずつ小さなハートがついているネックレスだった。
「真ん中のハートが美穂、横の小さなハートが俺達」
「ッカー!粋な事言ってくれるじゃないの!」
(英訳すると、「It's nice idea!!」・・・自分の英語力のなさを呪いたい)
そんなこんなで、終始彼らの厚意に支えられ、私は台湾の夜市を楽しむ事が出来た。
(左)夜市にて。これは台湾で有名な、「臭豆腐」。くさい。(右)ネックレスを買ってくれたとこ。
27日目。9月13日。
いよいよ旅最後の日。
この親切な台湾の皆様、なんと、こんなわたくしめを空港まで送ってくださると言うのです。
エリックが車を出してくれて、他に、ジェイソンとひとみ、その彼氏までもがついてきてくれたのであります。
ホント、このお礼はどう致せば良いのでしょうか。
全身の羽をむしって機織しても、まだ足りないでしょう。本当にありがとう。謝謝・・・!
搭乗間際、1人1人にありがとうを言っていたら、自然に泣けてしまった。
それくらい、本当に台湾のみんなは親切だった。
旅って出会いだな、とはいつも思うけど、台湾は出会い運1番の国じゃないだろうか。
航空券を一日早めなければ、航空会社のあの座席割りがなければ、
今頃ベンチから起きて「あーやっぱ1階のベンチの方が寝心地いいなぁ♪」とかいいながら搭乗口にひとり寂しく向かっていたはずだ。
とにかく、感動。
今回は雨のせいで遠出できなかったせいもあるが、みんな「next time, next time」と言ってくれた。
絶対来る!!!
みんなに「再見!」と手を振り、搭乗口へ向かう。
エバー航空に乗り、私は約1ヶ月ぶりへ北海道へ帰った。
(左)見送りに来てくれたみんな。 (右)今回利用したエバー航空。
・・・とまぁこんな感じで、私の初一人旅は幕を閉じたのでした☆
おしまい
旅一覧に戻る