台湾-Taiwan-
さて、私は色々とズタズタにされたインド・ネパールを後にし、
半年前に超!素敵な出会いをした台湾へ向かった。(詳しくは前回台湾の章参照)

台湾行きの飛行機では、インド人のおっさんが隣の席だった。
おっさんは、私がこっくりこっくりし始めると決まってトントンと肩を叩いて私を起こし、
自分の肩を指さして“ここで寝ていいよ”というサインをしてくる。
イヤ、いいから。
このオッサンのせいで、大して寝られないまま朝の9時頃、台湾に着いた。

空港には、前回部屋を貸してくれたり、一番親切にしてくれたジェイソンと、
車を持っていて、最後の日には空港まで送ってくれたエリックが迎えに来てくれていた。

台湾の空模様はどんよりと冴えなかったが、私達は半年振りの再会を喜び、
早速前回も泊まらせてもらったジェイソンの寮へ向かった。

ジェイソンの部屋に着き、早速シャワーを貸してもらう。
インドとネパールはくそ寒いのにホットシャワーがなかった。
「ホットシャワーだから」と言われて泊まった宿でも、実際は出なかったり、
バケツに入った熱湯を、うまく水と混ぜながら桶で浴びたりして、 とにかく今回は入浴において、苦労が多かった。
だ・け・ど☆台湾はホットシャワーが出る♪♪♪
速攻思う存分に温かいシャワーを浴び、ちょっとのつもりでベッドに横になったら、
気づいたら夕方だった。
ありえん…朝来たのに、もう1日が終わりかけている…。

目を覚ますと、ジェイソンが隣でパソコンを使っていた。
ジェイソンは、パソコンで、何か映画を見せてくれると言う。
なんとそれは、日本で一世を風靡した「世界の中心で愛を叫ぶ」だった。
台湾はアジアきっての親日国だ。
ジャニーズが好きな女の子も多いし、街を歩けば日本の歌謡曲が普通に流れている。
私は流行に疎いタチなので、この映画も全く興味がなかったのだが、
日本にいて見ないものを、台湾で鑑賞する事になった。

映画が終わりかけた頃、女の子がやって来た。
彼女の名前はいるか。いるか?なごり雪?まぁまぁ。
いるかは日本語学科の学生で、帰国後、ピァウの紹介で友達になっていた。
いるかは私の来台を心待ちにしてくれていたのだ。

どうやら今晩私は、いるかの部屋に泊まる事になったようで、彼女は迎えに来てくれたらしい。
近くの女子寮に住んでいるという事で、彼女のスクーターに乗る。

女子寮は、みんなの集まる大きな部屋に、テレビが置いてあり、数人の女の子が座っていた。
みんな日本語学科の子だそうで、日本語で自己紹介をしてくれた。
あみです」 よしこです」 なつきです」 オレンジです」
たまに引っかかる名前もあったが、日本語の名前というのはやっぱり覚えやすい。

私は彼女達と一緒にテレビを見ていたのだが、
このテレビもまた、日本のものばかりで、この時は「学校へ行こう」をやっていた。
日本語はそのままで、下に中国語の字幕がついている。
他にも、「どっちの料理ショー」とか「あいのり」とか、何でもやっていた。
(ちなみにあいのりは、「熱愛巴士(熱愛バス)」というタイトルだった)


翌日、私達は昼頃起きて、駅へ向かった。
どうやらここで、男の子達のグループと合流して、みんなで台北へ向かうらしい。

前回は、あまり外出が出来なくて、内々に過ごした台湾だったが、
こうして外に出て人を見ていると、本当に日本に似ている。
服装も、髪型も、日本をお手本にしているのがよくわかる。

私達がまず向かったのは、五分捕服飾特区というところ。
ここは、服屋の集まる地域。
値段も非常に安く、前回一文無しで買い物の出来なかった私にはリベンジのチャンスだ。
が。
「好きな店で止まってゆっくり見ていいからね〜♪」という優しいお声と共に、
私の後ろには、常に8人がゾロゾロと付いている。
なんと買い物のしづらい事か。
いや、思いきって図々しくなれればよかったんだけど、
みんながあまりに優しい手前、なかなかそうともなれない。
結局2枚ほど服を買って、私達は五分捕服飾特区を後にした。
…1人で来たら、1日つぶせたなぁ〜!
ジュース屋
(上)五分捕服飾特区にあったジュース屋。タピオカティーとか、おいしくて安い。

それから私達は、台北のシンボル的存在、101タワーへ向かった。
台湾1だかアジア1だか世界1だか忘れたが、とりあえず高いらしい。
向かってみたはいいものの、まだ建設中で、中には入る事が出来なかった。
101タワー
(上)101タワーをバックに。

ちょっと休憩してから私達は士林観光夜市へ向かった。
朝からあまり良くなかった天気は、夜ついに雨になり、
夜市に着く頃には、靴の中までグチョグチョに濡れてしまった。

でも、夜市はとっても楽しかった。
屋根があって、雨を防げるのも助かったし、
何より狭い敷地の中にたくさんの屋台が軒を連ねており、
どれもこれもおいしそうなものばかりなのだ。
人数が多い事もあり、私達は色々な食べ物を買って、みんなでつまんだ。
女の子が食べ歩きが好きなのはどの国も同じで、
みんなと一緒に、お腹がいっぱいになるまで食べた。
夜市1 夜市2 夜市3
(左・中)女の子みんなでつまみ食い。                                    (右)カキの入った卵焼き。

それからみんなでゲーセンや色々な店を見て回り、
結局夜の11時頃に台北を出て、日付が変わる頃、 ジェイソンのスクーターで、寮へ戻って来た。
考えてみたら、今日はみんな私のために、雨の中こんな遅くまで付き合ってくれた。
本当に、みんなありがとう…☆

翌日は、実質旅の最終日だ。エンジョイしなきゃ…!と思っていたのに、
起きたら4時だった。
…やはり、旅の終盤になると、疲れというものは隠せない。
ましてあんな強烈なインドとネパールを駆け抜けて、
こんな優しいみんなの待つ台湾に来たら、気が抜けてしまっても仕方ない。
けど、台湾の友達は夜型の人が多く、どうやらみんな同じような時間まで寝ていたようだ。
私達は日が落ち始めたのと同時に活動を開始し、
この日は前回のように、みんなでボーリングに行った。

前の時は、みんなで私を囲んでワイワイやっていたのだが、
今回はちょっと雰囲気が違った。
というのも、前回は情報工学科の男の子達ばっかりだったのに対し、
今回は、それプラス日本語学科の女の子達も参加しているため、
いわば合コンのような雰囲気が漂っているのである。
男の子はカッコいいところを見せようと張り切るし、
女の子はみんなヘタクソだけど、それがまたかわいらしく、キャーキャー言っている。
そもそも、この2つのグループをくっつけたのは、私の登場だ。
半ば中立的な立場になった私は、若干微妙な立場、とも言う事が出来た。
しまいには、男の子の1人に 「俺、あの白いシャツの子いいなと思ってるんだよね…」と想いを打ち明けられ、
白いシャツの子のところに行って、その男の子の良さをアピールしたり…
…何してるんだ、自分?
日本語学科の子と オールドフレンズ
(左)日本語学科の女の子達と。           (右)前からのオールドフレンズ組。

早いもので、あっという間に帰国の日になってしまった。
この日は、前回と同様に、エリックがまた空港まで送ってくれる事になっていた。
朝10時の便という事で、7時頃には寮を出るつもりでいたのだが、
朝、ジェイソンの携帯に、「ごめん、寝坊した…!」
おいおい、大丈夫なのかよ…。
30分ほど遅れてエリックがやって来た。
エリックは、遅れた割には途中の道でガソリンを入れに寄ったり、余裕を見せる。
私も十分余裕は取ったつもりでいたので、30分くらいの遅れは気にせずにいたのだが…

空港に着くと、
私の便のカウンターがない。
「あの、このフライトの手続きはどのカウンターでしょうか…?」
「もう手続きは締め切りました。」
「?!」
…って言ったって、これで帰らないと帰れないんだってば!
ジェイソンも手伝ってくれて、中国語と英語で交渉する。
「無理です。」
恐ろしいほどに事務的な係員。
「じゃあどうすればいいのさ?!どうしたら帰れるのさ?!」
「…もうこの便に乗るのは無理なので、次の便に乗れるか調べてみましょう」

あーマジどうなるんだよ勘弁してくれよー…。

30分ほど待ち、その係員は無情にもこう言った。
「お客様のチケットは変更不可なので無理です。」
…変更不可?そんなの知ってるって!
だから乗らしてくれってあんなに頼んだんじゃん!アホー!!
(※格安航空券には、予約をした時点で変更一切不可の「FIX」チケットと、
  後日変更可能な「OPEN」チケットがあり、私のチケットはFIXだった。)

残された道は1つ。新しくチケットを買い直す事だ。
エリックは旅行会社に、安くチケットを買えないか問い合わせしてくれたが、
片道チケットのため、安くはならないらしい。
という事は。
正規料金で航空券を買うという事だ。
台湾−東京片道5万円。
5万…5万あったら往復できるよ。ヘタしたら2泊3日くらいのツアーあるよ…。

しかし、財布を開けてみると、5万も残っていない。
そりゃそうだ、旅の最終日だもん…。
仕方ない、クレジットカードで払うか…。「あ。」
このカード、月に5万円までしか支払い出来ないんだった。

私は成田に着いた後、そこから新千歳までの道のりがまだ残っている。
その道は、成田に着いてからスカイメイトを取ろうと思っていたのだ。
つまり、成田から新千歳に帰るために、1万5千円ほどを残しておかなくてはならない。
という事は、今航空券を買うために5万を使ってしまうと、東京から北海道へ帰れなくなってしまう。
さて困った。
遅刻した張本人のエリックは、一銭も持っていないようだ。
そこで、不運にも空港まで同行してくれたジェイソンが、ATMで急遽お金を下ろしてくれる事になった。

ジェイソンのお陰で無事に航空券を取る事が出来た私は、
今までにないくらい日本が恋しくなってきた。今すぐ帰りたい…。
エリックとジェイソンは、出発時刻まで一緒に待つと言ってくれたが、
何を話していいかわからない私は、「あとは大丈夫だから」と、二人を出口まで送った。

本当は、正午には日本に着き、成田から羽田に移動後、午後のスカイメイトで北海道に着く予定だったのだが、
私が新たに取った便だと、成田に着くのが既に午後6時頃になるらしい。
なんとか台湾から東京までは行ける事になったが、今日中に東京から北海道に帰れるのか…?

二人を見送った後、自宅へ電話をかけた。
「もしもし、お母さん?」
「おぉ、今どこさ?成田?羽田?」
「あのね、今まだ台湾なんだけど…」
「は?!アンタ何やってんの?!」
ホント、何してるんだろう、アタシ…。
「…友達がね、車で送ってくれるって言ってて、寝坊してね…飛行機乗れなくてね…」
私は受話器越しに泣き出した。
日本が恋しい、家に帰りたい、お母さんに会いたいよぅ…。

母は、すぐにインターネットで調べてくれて、
その結果、成田から直接千歳に向かう便が6時半にある事がわかった。

搭乗手続きを済ませ、台湾を後にする。
みんなに会えてよかった。楽しい思い出ありがとう。
来てよかった。でもしばらくはもういいや…

到着したのは6時、次の北海道行きは6時半。
荷物を乗せたカートを押して空港内を激走する。
カーブは、遠心力を利用して、自分を中心にブオンと回転する。 わかるか、この急ぎ具合!!

出発15分前に無事JALのカウンターに到着。
飛行機に乗る時には「お客様が最後になりますので、お急ぎ下さいませ!」と煽られた。
いや、煽られたなんて言ってはいけないな、乗せてくれたんだから。
くそーチャイナエアライン…いや、悪いのはエリックか?
いや、エリックの寝坊を見込んで時間を決めなかったが悪いのか?
悪いの誰でもいいから金どうにかしてくれよ、カネ!5万!!

JALのスチュワーデスさんは優しかった。
コンソメスープ2杯とジュースを頼んだ私にも 笑顔で対応してくれた。

空港には、母から指令を受けた、会社帰りの父が迎えに来てくれていた。
前の旅のように、「帰って来たくなかったよー!」というよりは、
「帰って来れた…」と、ホッと胸をなでおろして、今回の旅は幕を閉じたのでした。


おしまい


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